私と君と夢物語。
出会い
「楓どーなのよ、彼氏と~、」しほが楓に聞く。
今日日直の私は黒板を消しながら近くにいる楓としほの話を聞く。
ん??楓に彼氏?!
「楓、彼氏できたの?!」
「ほらばれちゃった!」
バシバシと楓はしほの肩を叩く。
12月。明後日は終業式。冬休みが始まるって皆浮かれだしている頃。
「今日も会いに行くの?」
楓の手を振りはらって聞く。
「ついてきて?」
手を合わせしほにお願いする楓。
私は黒板消しの端を持ち背伸びをして上の文字を消す。先生、筆圧強すぎるって、消えない。
「ごめん、今日は…。」
「えーー!」
はぁ、と息をつく楓。
「莉桜放課後暇?」
「んまぁ、まぁ」
いきなり話を振られて返事に困る。
「ついてきて!」
「いいけど?」
ぱっと明るくなった楓。ニコッと笑った。
6限終了のチャイムが鳴る。
「はぁー!ようやくだよー!」
HRが終わって楓のテンションはますます上がる。
楓と鞄をもって教室を出る。
教室が暖かかったせいか余計に外が寒く感じられる。
「大貴っていうんやけどね?私の彼氏。」
「うん、」
軽くスキップを踏む楓。こんな楽しそうな楓初めて。
「めっちゃかっこいいの!」
「そうなのね~!」
「大貴の友達もイケメンなんだよ?」
得意げに言う楓。私が面食いなのを知っているからかイケメンを強調する。
自転車で来たけど、まぁ、いっか。おいて帰ろう。
気がかりになりながらも駐輪場を素通りする。
歩いて駅へと向かう。
いつもここで会っているそうだ。
どんな人だろう。
イケメンって言ったって楓とは少し好みが違う。
でも本当に私の好みのイケメンだったらどうしよう。
そんな希望というか期待を抱く。少しだけ胸が弾んだ。
「あ~!将人もいるよ」
ふふっと笑った楓。
将人……。
将人は小学校が同じで小5、小6と同じクラスだった。
晴人のグループにいてずっと晴人たちといた人。走るのが速い人。なんかよく笑ってる人。
そんなイメージ。
「私の元カレ居ないよね?」
不安になって、怖くなって聞く。
「居ないから!大丈夫よ!」
ふぅと安堵の息がもれた。