私と君と夢物語。
「ご飯よ〜!」
その声で2階から妹が駆け下りてくる。
私と妹と母で食卓につく。
父はいつも仕事で帰ってくるのが遅いからいつも夜中に1人で食べている。
寂しく無いのかな。
今日のメニューはクリームシチュー。
冷えた体をふわっと温める。
おわんの下に少しだけたまったシチューをスプーンでかき集めてすくう。
「ごちそうさま。」
席を立ち食器をシンクの中に置いて水を入れる。
不意に今日のことを思い出した。
翔磨、なんか素敵な人だったな〜。
るんるんしながらお風呂へ向かう。
「なんか今日莉桜楽しそうね。」
母がにこやかに私に言った。
シャワーを浴びて湯船に浸かる。
お湯が私の体を包んだ。
楓の幸せそうな顔。
大貴のはにかんだ顔。
翔磨の緊張気味の私に向けた優しい笑顔。
「平和やな〜。」
パジャマに着替えるとすぐに自分の部屋へ向かった。
ドアを開き、電気をつけ、電気ストーブをつけてベットに転がった。
LINEは30件。
ほぼどーでもいいことばっか。
でも楓の一言が目に付いた。
『今日どーだった?』
すぐに開いた。
私はなにかと楓と翔磨たちの話をするのが好きだ。
『今日めっちゃ緊張した〜!』
『やっぱ大貴かっこいい』
『今日どーだった?』
の3つが送られてきていた。
私は楓の惚気にムッとしながらもなぜか嬉しかった。
今日のことで思い浮かぶのは翔磨のことばっかり。
「ん〜、私翔磨の方がタイプかな〜」
思いのほか既読がすぐについた。
「楓楽しそうだったね〜」
「そりゃねー会えて嬉しいんだもん」
「明日も行くの?」
「行くよ!莉桜も行く?」
少ししか喋れなかったのにすごくたのしかった。
「どうしよ、行こうかな。」
スマホを片手にカーテンの外を眺めた。
だいぶ前から雪が降り始めたのだろうか。
少し積もっていた。
向かいの家の屋根、優斗の家の屋根にも庭の木にも、ベランダの少し汚れた手すりも暗闇の中白く装飾されていた。
道路にも白く積もり、タイヤの跡が絨毯の模様のようだ。
街灯に照らされキラキラと光っている。
「行こーよ!」
帰ってからの返信。
「いいよ。」
そう送ってスマホを閉じた。
カーテンも閉じ、部屋を後にした。