そして、冬がやって来る。
…モミジは、色づいてなかったけど。
名前は知らない葉っぱは綺麗な真っ赤だったし、ドングリはたくさん落ちてたし、イチョウは真っ黄色だった。
間違いなく、収穫は…あった。
目的のものは、予想通りなかったけど。
でも、いいや。帰ろう。また来よう。
腕時計を見ると、時刻は16時15分。
太陽が段々、濃いオレンジ色になっている。
多分、来た道そのまま戻れば間違いないんだろうけど、それじゃあ時間がかかるし、面白味がないので、私は地図を見て帰り道を探した。
お、このルートなら行けそう。
よし、行こう。
*
公園の中の割かし広いところに出ると、そこには、コスモス畑が広がっていた。赤やピンクに白の三色のコスモスが視界を埋め尽くし、とても綺麗で、可愛らしい景色だ。
コスモスの苗お譲りします。…と、書かれた紙がぶら下がっていたりして、「おぉ、欲しいな、それ。」とか何か思いながら歩いていた。
空を見上げると、夕陽が今にも降ってきそうなくらい濃く、濃く広がっていて、所々に置かれているような雲は、明け方でもないくせに、綺麗な紫色だった。
それが、計算されていたと思わせるくらい、コスモス畑に似合っていた。
「おじいちゃん、こっちこっち!」
小さい女の子の、無邪気な声が聞こえる。
「みーちゃーん!待ちなさーい!」
若い母親の、少し困ったような声が聞こえる。
夕方の公園は、想像以上に、色んなもので溢れていた。
*
「困ったな…。」
あんな調子で歩いていたら、全然道が分からなくなってしまった。
…つまり、迷子だ。
14歳にもなって、何やってんだ、私!
腕時計を見ると、16時40分。辺りも若干、暗くなっている。