そして、冬がやって来る。


…モミジは、色づいてなかったけど。

名前は知らない葉っぱは綺麗な真っ赤だったし、ドングリはたくさん落ちてたし、イチョウは真っ黄色だった。


間違いなく、収穫は…あった。


目的のものは、予想通りなかったけど。

でも、いいや。帰ろう。また来よう。


腕時計を見ると、時刻は16時15分。

太陽が段々、濃いオレンジ色になっている。


多分、来た道そのまま戻れば間違いないんだろうけど、それじゃあ時間がかかるし、面白味がないので、私は地図を見て帰り道を探した。


お、このルートなら行けそう。

よし、行こう。







公園の中の割かし広いところに出ると、そこには、コスモス畑が広がっていた。赤やピンクに白の三色のコスモスが視界を埋め尽くし、とても綺麗で、可愛らしい景色だ。

コスモスの苗お譲りします。…と、書かれた紙がぶら下がっていたりして、「おぉ、欲しいな、それ。」とか何か思いながら歩いていた。

空を見上げると、夕陽が今にも降ってきそうなくらい濃く、濃く広がっていて、所々に置かれているような雲は、明け方でもないくせに、綺麗な紫色だった。

それが、計算されていたと思わせるくらい、コスモス畑に似合っていた。



「おじいちゃん、こっちこっち!」



小さい女の子の、無邪気な声が聞こえる。



「みーちゃーん!待ちなさーい!」



若い母親の、少し困ったような声が聞こえる。


夕方の公園は、想像以上に、色んなもので溢れていた。







「困ったな…。」



あんな調子で歩いていたら、全然道が分からなくなってしまった。

…つまり、迷子だ。


14歳にもなって、何やってんだ、私!


腕時計を見ると、16時40分。辺りも若干、暗くなっている。




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