そして、冬がやって来る。


どうしよう、近所の公園で迷子になった14歳女子が、捜索願出された~とか、全然シャレにならないんだけど。

携帯電話なんて持ってないけど、公衆電話の使い方なら分かるし、十円玉もあるぞ!…って、公衆電話あるところなら、多分迷ってないから。


それに、結構ここは開けてるから、探されやすいし。…探されやすいって何だ。


道が何だか、迷路みたいに入り組んでいるから迷ったし…。ってか、それもあるけど、一番はボーッとしてたからか。


…本当、どうしよう。



「…あれ、あんた……。」



そう言う声が聞こえ振り返ってみると、そこには同い年くらいの男の子がいた。

……誰だっけ?顔は、見たことある気がするんだけど……。



「…やっぱり。お前、朝比奈蘭だよな……?」

「え、誰……?」



何で、名前知ってるの…?



「覚えてねぇの?剣道教室で一緒だったじゃん。」

「……あぁ!どこかで見たことあると思ったら!」

「本当に忘れてたのかよ……。」

「あ、っと、古畑翼?」

「フルネームかよ。」



そうだ、思い出した。

剣道教室で同じだった、古畑翼っていう人。

確か、同い年。



「まだ、やってるの?剣道。」

「まぁ。それより、何してんの、こんなところで。学区外なんじゃないの。そもそも学校は?部活とかやってねぇの?」

「……学校、行ってないし。」



他人に学校のことを聞かれるのは、やっぱり、正直辛い。



「ふぅん、そう。…剣道は?何で辞めたの?」

「……関係ない。」



剣道は…少しメンタルがやられてた時期に、先生に注意されて、比べられて……それが何だかトラウマになったから行かなくなった。

…あの時は、なんか申し訳なかったな。先生を悪者みたいにして。

もう、戻る気はないけど。



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