夢原夫婦のヒミツ
そこからは目まぐるしく日々が流れていった。

大和さんはおばあちゃんに挨拶に来てくれて、それから叔父さんの家にも来てくれた。……そして家族が眠る墓前にも。

もちろん私も大和さんの故郷へ向かい、ご両親が眠る墓前で挨拶をさせてもらった。

そして私の大学卒業を機に入籍。

自分のことのように喜んでくれた蘭や佐介に手伝ってもらいながら、結婚式の準備を進めていき、親しい友人や親族、職場のひとたちを招いてのささやかだけど、幸せいっぱいの結婚式を挙げたんだ。

* * *

――そう。私は大好きな人にプロポーズされて幸せな結婚をしたはず。

今だって大切にしてもらえていると思う。こうして家族の命日には、一緒にお墓参りしてくれた。

日常生活の中でも、なにかと私のことを気遣ってくれるし、大和さんはいつも優しいもの。

それなのにこんなにも不安になるのは、普通の夫婦……いや、恋人なら当然するスキンシップをしていないからかもしれない。

手を繋いだことはたくさんあるし、抱きしめられたことだってある。頬にだって結婚式の時に一度だけどキスされたことだってある。
< 104 / 244 >

この作品をシェア

pagetop