夢原夫婦のヒミツ
でもその先へはまだ進めていない。おまけに寝室も別々。同じ部屋で眠るのは、今日が初めてときたものだ。

もう結婚して半年以上たつのに……。

それは私の女としての魅力がないから? こんなこと考えたくないけど、大和さんが私と結婚してくれたのは、同情からじゃないかなと思ってしまう。

自分と同い年で家族を失った私を心配する気持ちと、恋心を勘違いしているんじゃないかな……とか、とにかく色々と考えては落ち込んでしまう。

大和さんが私にくれた言葉を信じたい。信じたいけど……やっぱり不安になるの。

私たちの始まりが始まりだったから余計に。

だけど臆病な私は聞けずにいる。「どうしてキスしてくれないんですか?」って。

だってもし聞いて、大和さんを困らせたら? 私の考えが当たっていて同情から結婚したから、普通の夫婦らしいことはできないなんて言われたら、立ち直れないもの。

だから私は今日もまた気持ちを抑え、固く瞼を閉じた。
< 105 / 244 >

この作品をシェア

pagetop