夢原夫婦のヒミツ
次の日。

課業開始と共に後輩に指導をし、その後は射撃訓練へ。

いつものように的を狙うものの、五発中命中したのは三発だった。

「ん? 珍しいな。百発百中の大和が二発も外すなんて。集中力を欠くようなことでもあったのか?」

見ていた武志にすかさず聞かれ、素直に身体はギクリと反応してしまう。

すぐに「なにもないよ」と答えたものの、長年の付き合いがある武志にはバレバレのようだ。

弾の補充をしていると、すかさず彼は俺に近づき、周囲に聞こえないようコソッと耳打ちしてきた。

「なに? もしかしてまだ愛実ちゃんと一線を越えられず、悶々として寝不足なわけ?」

「……ちがっ! そんなわけないだろう!」

図星を突かれ、たまらず声を荒らげてしまうと近くにいた同僚たちは、何事かと俺たちに視線を向けた。

「悪い、なんでもないんだ」

「少し悪ふざけが過ぎました」

すぐさま武志と同僚に弁解し、またそれぞれ射撃訓練を続ける中、俺はジロリと武志を睨んだ。

「今は訓練中だ。私的な会話は慎め」
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