夢原夫婦のヒミツ
注意を促すと武志は「はいはい」なんて返事をしながら、愛実の話を続けた。

「それにしてもお前、よく我慢できているな。もう結婚して半年以上経つよな?」

「……あぁ」

手を動かしながら聞かれ、迷いながらも答えると武志はニヤリと笑った。

「さすが二等陸曹様は違うな。忍耐力も備わっているわけだ」

「階級は関係ないだろ」

次の弾を詰めて次の射撃準備に入る。

今度こそしっかり狙いを定めて発砲すると、無事にすべて命中した。

「さすが」

そう言う武志も、すべて命中させる。射撃の腕は俺よりも武志の方が上だと思う。

「相変わらずすごいな」

「お前ほどじゃねぇよ」

「なにを言うんだか」

俺の肩をポンと叩くと、次の後輩の指導に入る武志。

武志は昔なら何事もそつなくこなす奴だった。明るくて人当たりもよく、誰ともすぐに打ち解けることができる。

そんな武志だからこそ、愛実ともすぐに仲良くなっていた。……正直、嫉妬したほどだ。

そういえば武志は、彼女とかいないのだろうか。
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