夢原夫婦のヒミツ
その姿にまたからかわれたのだと気づく。

「アハハハッ! 大和お前、本当に愛実ちゃんのことが大好きでたまらないんだな。さっきの顔、写真に収めて愛実ちゃんに送りたかったわ」

「バカ、やめろ。……絶対そんなことするなよ!」

いまだにお腹を抱えて笑い続ける武志に釘を刺す。

「はいはい、わかったよ。……それに安心しろ。俺が気になる子は愛実ちゃんじゃないから。あ、もちろん愛実ちゃんのことは好きだぞ? 妹みたいで可愛いしな」

「……わかってるよ」

冷静に考えれば、武志が愛実のことを異性として見ているはずないよな。それなのに取り乱してバカみたいだ。

スタスタと歩を進めると、すかさず武志も俺と肩を並べた。

「うまくいったら一番に紹介するよ」

「……あぁ」

ぶっきらぼうに返事をすると、またこいつは「クククッ」と喉元を鳴らす。

武志にだけは一生勝てない気がする。
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