夢原夫婦のヒミツ
同じ境遇だからこそ、私を幸せにしたいと思ってくれたのかもしれないと。

「大和さんは大切にしてくれるし、一緒に暮らしていて毎日が幸せだよ? でも愛されているって自信を持って言えないの」

「愛実……」

私の話を聞き、蘭は悲しげに瞳を揺らした。そんな蘭を見ると、私まで泣きそうになる。

だけど、泣いたって解決しないしふたりを困らせるだけ。

奥歯をギュッと噛みしめて、ふたりを交互に見つめた。

「どうしたらいいのかな。日常生活の中で、それなりにアピールしているつもりなんだけど……。それ以前にもしかして、私に女としての魅力が足りないのがいけないのかな!?」

それはそれであり得る話だ。好きになったのは大和さんが初めてで、当然経験などあるわけがない。

「普段、可愛い園児たちと一緒にいるせいで、私も子供と化している? いつまでも妹キャラから抜け出せていないとか?」

暴走する私に、佐介は「落ち着け、愛実」と言いながら、「うーん……」と唸る。
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