夢原夫婦のヒミツ
私の家が土砂災害に巻き込まれた時も、こんな風に連日大雨が降り続けていた。

今回と同じ状況だ。場所は離れているけれど、要請があれば大和さんは現地に向かうことになる。

昨夜、すぐに行けるようにと大和さんは準備をしていた。

その姿を見て出掛けるのは別の日にしようと提案しても「大丈夫」と言われて、出掛けることになったんだけど……本当に大丈夫なのかな?

私がリビングに来たことにも気づかないほど、気になって仕方ないんだよね?

「あの、大和さん」

声を掛けると大和さんはハッとし、テレビを消して立ち上がった。

「準備終わった?」

「あ、はい」

そう言うと大和さんは「じゃあ行こうか」と言いながら、玄関へと向かっていく。

後をついていきながらやっぱり心配になり、靴を履く前に訪ねた。

「大和さん、あの本当に今日出かけて大丈夫ですか?」

私の声に彼は振り返り、安心させるように笑った。
< 199 / 244 >

この作品をシェア

pagetop