夢原夫婦のヒミツ
「ありがとう、愛実。え、もしかしてこれは愛実から私に?」

「うん、そうなの。気に入ってくれるといいんだけど」

「えー、なんだろう」

さっそく包みを外していく蘭。彼女にと選んだのは、バスセットだった。

「うわぁ、嬉しい。最近お風呂で本を読んだりしているから。使わせてもらうね」

「うん」

佐介が来るまでの間に、ふたりでお皿などの食器類の準備に取り掛かる。

「大和さん、大変だね。土砂崩れの現場にいるんでしょ?」

「うん、たぶん……」

「そっか。心配だね」

そう言うと蘭は優しく私の背中を撫でた。

同じ自衛隊員の旦那さんを持つ奥さんたちは、いつもどんな気持ちで見送るんだろう。

どうやって旦那様の帰りを待っているのかな。

月日が経てば、こんなにも心配になったりしないもの?

せっかくの蘭の誕生日だというのに、グルグルと考えていることに気づき首を左右に振った。
< 212 / 244 >

この作品をシェア

pagetop