夢原夫婦のヒミツ
「もう、大和さん!?」

抗議すると彼は眩しい笑顔を見せた。

「アハハ、ごめん」

今度は優しく私の頭を撫でて大和さんは、「いってくるね」と言い家を後にした。

彼が出ていったドアを立ち尽くしたまま見つめてしまう。そしておもむろに触れたのは、大和さんに撫でられた頭。

いってきますのキスはできなかったけれど、頭を撫でてくれた。……うん、これで今日も頑張れそう。

いってきますのキスは、明日以降にリベンジすればいいよね！

いつものプラス思考で自分に言い聞かせ、私も準備をして戸締りを済ませ、家を後にした。


大学在学中に取得した管理栄養士の資格を生かし、私立保育園に勤務して半年になる。

自宅アパートから自転車で十五分の距離にあり、勤務時間は八時から十七時まで。

園児たちの給食の献立作りに調理、材料の発注、在庫確認、保護者へ配布する給食メニューの献立表作り。

時々保育園の活動補助に入り、園児たちと触れ合う時間もある。
< 6 / 244 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop