夢原夫婦のヒミツ
最初は誰も友達がいなくて不安だったけれど、すぐに友達ができたし、蘭と佐介とも頻繁に会っていた。

大和さんとも文通を続けること一年半。

二十歳の誕生日を前に、私は思い切ってあるお願いをしたんだ。

【大和さん、私の二十歳の誕生日に会っていただけませんか?】って。


* * *

箱の中からアルバムを取り出し、ページを捲っていく。

「……あ、あった。これだ」

それは私の誕生日に初めて大和さんと会った時に、ふたりで撮った写真。

前日の夜は緊張してまったく眠れなかったんだよね。最初から最後までずっとドキドキしていた。

写真に写っている私の顔も、笑っているけどぎこちないし。今となっては良い思い出。

ふたりの思い出が詰まったアルバムを眺めていると、玄関の鍵が開く音がした。

「え、嘘!?」

ハッとして時計を見ると、大和さんが帰ってくる時間。

急いで部屋から出ると、迷彩服に身を包み、玄関先で靴を脱いでいる大和さんの姿があった。
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