夢原夫婦のヒミツ
「こうやって同じ部屋で眠るのは、初めてだな」

「……はい」

まさか大和さんに言われるとは夢にも思わず、驚いてしまう。

あ、あれ。もしかしてこれは、かなりいい雰囲気じゃないの? もしや、初めてのキスができちゃう?

違った意味でドキドキする私の隣で、大和さんはごろんと仰向けになった。

「こうして布団で眠るのはいつぶりだろう」

彼はそう言いながら瞼を閉じる。

そういえば私も布団で眠るのは久しぶりかも。

お父さんたちが生きていた頃は、全部畳の部屋だったから布団で眠るのが当たり前だったけれど、おばあちゃんの家は全室フローリングでベッドだったし、大和さんとの新居もそう。

「そうだな……両親が生きていた頃以来かもしれない」

「そう、なんですね」

すると大和さんは寝返りを打ち、私の方に身体を向けた。そして頬杖をつきながら私を見つめてくる。

「今日は昔のことを思い出したよ」

「昔のことですか?」

オウム返しすると、彼は頷いた。

「結婚する前に話した俺の家族の話を覚えている?」

「……もちろんです」

忘れるわけない。大好きな大和さんの家族のことを。
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