夢原夫婦のヒミツ
彼のご両親はお互い天涯孤独の身で、親戚と呼べる人はひとりもいなかったらしい。
だけど家族三人での暮らしは幸せだと言っていた。それなのに私と同じ十八歳の高校三年生の時に、震災に遭い、その後発生した津波によって家族を失った。
高台にあった学校にいた大和さんだけ助かったと。
彼はふたりの遺体が発見されて、しっかり死と向き合うことができ、埋葬することができただけよかったなんて言っていた。
たしかにいまだに行方不明者が多数いる中、そうなのかもしれないけれど……同じ経験をしているからこそ、大和さんから話を聞いた時は、思わず泣いてしまった。
それから大和さんは、懸命に捜索してくれた自衛官になるため、ふたりが遺してくれたお金で防衛大学へ進学。そして陸上自衛官となった。
「両親と住んでいた家も、借家だったんだけど叔父さん家のような、古い日本家屋で畳の部屋だった。……居間でテーブルを囲んで食事をして、幼い頃はこうして布団を三つ並べて寝ていた」
だけど家族三人での暮らしは幸せだと言っていた。それなのに私と同じ十八歳の高校三年生の時に、震災に遭い、その後発生した津波によって家族を失った。
高台にあった学校にいた大和さんだけ助かったと。
彼はふたりの遺体が発見されて、しっかり死と向き合うことができ、埋葬することができただけよかったなんて言っていた。
たしかにいまだに行方不明者が多数いる中、そうなのかもしれないけれど……同じ経験をしているからこそ、大和さんから話を聞いた時は、思わず泣いてしまった。
それから大和さんは、懸命に捜索してくれた自衛官になるため、ふたりが遺してくれたお金で防衛大学へ進学。そして陸上自衛官となった。
「両親と住んでいた家も、借家だったんだけど叔父さん家のような、古い日本家屋で畳の部屋だった。……居間でテーブルを囲んで食事をして、幼い頃はこうして布団を三つ並べて寝ていた」