麻布十番の妖遊戯
「あたしは昭子って言うの。

 これは太郎って言ってあたしの古くからの仲間でね、威圧感があると思うけど気にするこたないよ。

 害はないさ。
 そんなことより女同士いろいろお話ししようじゃないか。良ければあんたの名前と、なんで殺されたかってのを話してくれないかい? 

 あんたは今まで長いことこの世から遠ざかっていたから忘れちゃったと思うけどね、あんたはきっとそういう約束をしたはずだよ。

 え? なんでかって聞くのかい? そりゃああたしなんかより太郎に聞いた方がいいさ。ねえ、そうだろ?」

 昭子はお洒落な髪をするりと手で撫で、太郎に水を向けた。

「おやおや、俺にふるのかい? それじゃ、なんでここに出てきたかってえのをざっくり話すとしましょうか」

 太郎が口を開く。
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