麻布十番の妖遊戯
「私は、小林瑞香と申します。生まれは東京の目黒区で、大学生の頃から家の近くで一人暮らしをしていました」

「そうそう、そうこなくっちゃあ。面白くなってきた」

 昭子が空いたグラスを太郎に差し出す。

 太郎はそこに日本酒を注ぐ。それは決まりのような一連の流れであった。

 瑞香は自分の身に起こったことをポツリと話し出した。
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