麻布十番の妖遊戯
 自分よりも十程離れている人だった為、最初は当たり障りなく社交辞令に会話をしていたが、マメに連絡を寄越してくる男性に少しずつ好感を持ち始めていた。

 彼は名を、斎藤司といった。
 茨城県の北に位置する農村部で一人暮らしをしていた。

 仕事はウェブデザイナー。
 フリーランスなので時間は自由、趣味で畑で野菜を作ったり裏の山で花を育てる毎日を送っているというメッセージに、自分が育てた花の写真を添付して送ってきた。

 都会で生活している瑞香にとって、のんびりした田舎暮らしは憧れるところであった。

 毎日、起きたい時間に起きて、畑で採った新鮮な野菜で手間暇かけてゆっくり料理をし、

 自然の中で自然の音を聴き、緑を見ながら食事をする。その後、畑仕事をして、朝ごはんのついでに作ったお弁当を外で食べる。

 鳥の声に遠くに見える山々、綺麗な空気の中で食べるごはんは最高だ。
< 31 / 190 >

この作品をシェア

pagetop