麻布十番の妖遊戯
「はい、私が茨城に移り住んで、最初の頃はよかったんです。二人で楽しく過ごしてました。どこへ行くにも一緒だったし、片時も離れたことはなかったんです」

「いいねえ、そういう話はその後が絶対に面白くなるんだ」

 昭子がくくっと笑った。

 瑞香は困ったように眉を更に下げるが、昭子の待ち構えているギラついた目に負けて話を続ける。
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