麻布十番の妖遊戯
『僕の部屋には絶対入らないでね。子供の頃のものなんかもあるし、見られたら恥ずかしいものもあるから』
と言われていた。確かにその気持ちはわかる。
だれしも見られたくないものはあるのだ。瑞香も鍵付きの箱に入れて家の押入れに押し込めてある。
夫婦だろうと家族だろうとなんであろうとプライバシーを守らないとならないことはわかる。
しかし、そんなことを言っている場合ではない。助けを求める人がいる。
もしかしたら近所の子供かもしれない。
遊んでいるうちに入り込んでしまって、そのまま寝ちゃってしまったのかもしれない。
そのうちに鍵をかけられて閉じ込められたのかもしれない。それくらいしか考えられなかった。
あの掠れるような声では大人か子供かの区別はつかないけれど、きっとアクシデントで閉じ込められたに違いない。
いつからそこにいるのか、かなり弱っているような声だった。
ゆっくりのんびり司が帰ってくるのを待っている時間はないだろう。
深呼吸。
悪いとは思ったが、余計なものは見ないことにするから! と心の中で謝った。
ドアノブに手を伸ばしたところで、
「ねえ、瑞香、そこで何してるの?」
司がベランダに立っていた。こちらをじっと睨みつけている。
と言われていた。確かにその気持ちはわかる。
だれしも見られたくないものはあるのだ。瑞香も鍵付きの箱に入れて家の押入れに押し込めてある。
夫婦だろうと家族だろうとなんであろうとプライバシーを守らないとならないことはわかる。
しかし、そんなことを言っている場合ではない。助けを求める人がいる。
もしかしたら近所の子供かもしれない。
遊んでいるうちに入り込んでしまって、そのまま寝ちゃってしまったのかもしれない。
そのうちに鍵をかけられて閉じ込められたのかもしれない。それくらいしか考えられなかった。
あの掠れるような声では大人か子供かの区別はつかないけれど、きっとアクシデントで閉じ込められたに違いない。
いつからそこにいるのか、かなり弱っているような声だった。
ゆっくりのんびり司が帰ってくるのを待っている時間はないだろう。
深呼吸。
悪いとは思ったが、余計なものは見ないことにするから! と心の中で謝った。
ドアノブに手を伸ばしたところで、
「ねえ、瑞香、そこで何してるの?」
司がベランダに立っていた。こちらをじっと睨みつけている。