麻布十番の妖遊戯
 なのに一生懸命探していて、見ていておもしろかった。

 おまえがどういう行動に出るか、隠れて見ていた。
 でもだ、俺の部屋に入ってもらっては困る。
 中には見られたくないものがたくさんあるからね。

 お前にも見られたくないものの一つくらいあるだろう? そうだろ? しかし、おまえは入ろうとした。
 一線を越えたんだよ。だったら俺がやることは一つしかない。

 おまえはいるはずのない俺を見たとき、目が恐怖に震えていた。だからか、俺がナイフを手にちらつかせてみせても逃げることなくその場にいた。恐怖で動けないんだとすぐにわかったよ。すごく怯えた顔をしていた。

 じわじわといたぶろうと、手始めに畑の野菜の下に埋まっているもののことを話したら、おまえは体を大きく震わせ、耐えられずに吐き散らかした。
 吐き散らかした吐瀉物が口の周りについていた。
 俺がお前の首に手を回した時もただ震えるだけだった。

「だから、簡単だったよ。『この前の』みたいに騒がなかったから。すうっと力を込めていった。あそこまで騒がないのも初めてだったから、俺の方が驚いたよ」
 
 その後、体を、頭、右腕、左腕、胴体、と順に八つにバラしてこの畑に埋めた。

 ここに右腕、ここに右足、ここに胴体と、埋めた場所を踏みつけて歩く司は人を虐めて困らせて楽しんでいる。

「そして、そこに頭」

 指をさしているところは、瑞香が今立っているところだった。
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