失翼の天使―wing lost the angel―
「すっぽりおさまる」



「端からバカップルなんでしょうね、この光景って;;」



兄と仙田さんと同類に見られてるって、恥ずかしいよりも嫌な気持ちが勝る。

賴真の手の平を撫で、グロスを拭うとそのまま繋がる手。



「……っ、私、こうして歩くの初めて」



「え?」



「半歩下がって歩くか、腕を組む位だったから。賴真と初めて経験する事があって嬉しい……っ」



「止めろよ、こんなところで;;」



「今言わないと、意味ないじゃないですか;;」



「理性保てなくなるじゃねぇかよ;;」



「はっ!?;;中学生ですか??;;」



「優海の事には弱いんだ;;」



「そうじゃなきゃ、患者さん診れてませんよね?;;」



「人とは思ってるが、男だとか女だとかは思わないんだよな。何だろうな、あの感か――…」



「「「『キャーッ!!;;』」」」



「「…………?」」



…ジェットコースター?

じゃない、よね……?



「姉ちゃん!子供が!!」



騒ぎに気付いた湊の声に、“あんたも子供”なんてツッコミもする雰囲気でもない。

賴真と目が合い、手を離して走り出す。

湊が指差す方向に行けば、人集り。

輪を潜れば、重りに繋がれただけの露店の立て看板のロープが切れたのか、厚板の下敷きになってる3・4歳の男の子が居た。
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