失翼の天使―wing lost the angel―
7†あくまで怪我人
「あの、運転は出来ますが;;」
「良い。寝てろ」
…いやいや、私は眠気もピークを越えて、むしろハイですが?;;
――男の子を見送った後は、何事もなかったかのように、全アトラクション制覇を誓うお馬鹿男子たちを中心に見守り続けた。
お昼まで私と湊は賴真に奢って貰い、甘い物はあまり食べない私たちなのに、何故かクレープまで食べさせられたけど、それなりに充実した時間を過ごした。
遊園地の中心に聳え立つ灯台の時計が17時を報せる金の音を聞いて、みんなでゲートを潜って駐車場に出たのは良いけど、私を怪我人ではなく病人のように扱い、運転席に乗り込む賴真。
湊が「まぁ甘えろよ」といっちょ前にそう言って背中を押す為、しぶしぶ助手席へと回る。
「今日はありがとうございました!男の子の時は怖かったけど、お陰でみんなで楽しく過ごせました!」
礼儀正しい乃々香ちゃんに頷きながら、シートベルトを装着。
シートに身を預けると、おさまってた眠気が再び襲い始める。
黒Tシャツの上に羽織った半袖のパーカーを掛けてくれる賴真。
--ピピーッ
「シートベルト、大丈……後ろの人、してないね」
完全に甘えて夢の世界に片脚を突っ込んだ頃、高速のインターで抜き打ちの取り締まりに捕まった。