失翼の天使―wing lost the angel―
「ンッ――…」



重なる唇。

でも、初めて荒々しさを感じた。

舌でこじ開けられた口。



「…………!!?;;」



こんなにも求められてると感じるキスは、初めてかも知れない。



「お風呂、入って来たら?」



「……はいっ、」



息苦しさと高まる緊張感にシャツをギュッと握り締めると解放される。

脱衣所へと逃げるように飛び込み、服を脱ぎ捨てて熱いシャワーを頭から被る。

…初めてでもないのに、どうして……。

暴れる心臓を抑える方法がわからない。

考えてみれば、隆寬さんとの初めては付き合い始めてから数ヶ月が経っており、何か恥じらう気持ちが薄れてた頃。

あんなに深い口付けを交わすのは、情事への合図であって、そんなに経験がないせいかも知れない。

お気に入りの柑橘系の入浴剤の香りに包まれ、少しリラックスしてから出る。

パジャマ代わりのTシャツタイプのワンピースに着替えて交代。

その間に残ってたビールを飲み干して片してると、カラスの行水かと思うほどに早く出て来た賴真に包まれた。



「あの……;;」



「あ、わかった?;;」



「餓えですか?;;」



「んー。それもあるかな?」



大きくなってるソレに気付き、照れと笑いが混じって、苦笑いになる。
< 113 / 219 >

この作品をシェア

pagetop