失翼の天使―wing lost the angel―
「痛まないように優しくするから、ベッドに案内して」



「痛むのは、腕じゃないかと;;」



「まぁ良いから」



腕を撫で上げられただけでも、ビクリと反応する身体。

怪我人というより、またしても病人のように扱われながら、寝室を指差した。

キッチンの隣にある部屋へと腕を引かれて行けば、ベッドへと寝かされる。

こんな始まりも初めてで、月明かりに照らされた賴真の顔を見れず。

まだ少し濡れた髪を耳に掛けられ、露わになった首筋へ唇が当たる。

口に触れず。

身体にも触れずで、焦らされてる気がして賴真の唇に手を当てて阻止。



「いつまで続くの?」



「昂ぶって来た?」



「そんなの、最初から……」



昂ぶってるというのに、この期に及んでもまだ弄ぶつもりかと睨む。

膨れ面の私にしてやったりな満足げな笑みを浮かべると、ワンピースの裾が捲り上げられた。

軽く腰を浮かせれば、「バンザーイ」と腕を上げさせられる。



「優海」



「何か」



「愛してるよ」



「……何っ……!?」



想定外の言葉に、ムッとしてた事も忘れてしまった。

口付けを交わしながら、シャツを脱ぐのを手伝い、そっと賴真の背へと腕を回した。
< 114 / 219 >

この作品をシェア

pagetop