失翼の天使―wing lost the angel―
私は落ちたCT画像を拾い、封筒と共に兄のところへと持って行く。
「誰のだ」
「予後はどれ位かって……」
「で、お前は見たのか」
「見たところでどうしろと!?前の話でも、好きだったあの人の死期を考えるなんて出来るわけないじゃない!!」
「「「『…………』」」」
画像を見た兄の一言に、怒りかもわからない感謝の全てをぶつけてしまう。
兄は封筒にある他の画像を宮本先生と賴真に手渡し、3人で考え込んだ。
「宮本どう思う」
「……1年、と言ったところでしょうか」
「だな。切ったところでだ。鷺沼は」
「…………」
「同じか」
「……温存療法なら、伸びるんじゃないですか?見た限りで、治療にも入ってないあの人には体力がある。腫瘍を今なら摘出出来る。ただ、転移の可能性があります。3分の1を残し、抗がん剤や放射線治療に切り替えれば、1年より……短くても3年は、望みはあるかと」
「後は、気持ち次第か」
「えぇ」
兄は私をチラリと見た後、CT画像を賴真へと手渡し、顎で診察室を指した。
「行ってくれ。諸事情により話せない」
「“諸事情”?」
「優海の事で……ちょっと」
…あぁ……。
病院に乗り込んだ時の、ね……。
「誰のだ」
「予後はどれ位かって……」
「で、お前は見たのか」
「見たところでどうしろと!?前の話でも、好きだったあの人の死期を考えるなんて出来るわけないじゃない!!」
「「「『…………』」」」
画像を見た兄の一言に、怒りかもわからない感謝の全てをぶつけてしまう。
兄は封筒にある他の画像を宮本先生と賴真に手渡し、3人で考え込んだ。
「宮本どう思う」
「……1年、と言ったところでしょうか」
「だな。切ったところでだ。鷺沼は」
「…………」
「同じか」
「……温存療法なら、伸びるんじゃないですか?見た限りで、治療にも入ってないあの人には体力がある。腫瘍を今なら摘出出来る。ただ、転移の可能性があります。3分の1を残し、抗がん剤や放射線治療に切り替えれば、1年より……短くても3年は、望みはあるかと」
「後は、気持ち次第か」
「えぇ」
兄は私をチラリと見た後、CT画像を賴真へと手渡し、顎で診察室を指した。
「行ってくれ。諸事情により話せない」
「“諸事情”?」
「優海の事で……ちょっと」
…あぁ……。
病院に乗り込んだ時の、ね……。