失翼の天使―wing lost the angel―
「腕や足、痛くないですか?」
手足に触れながら、スラックスの上から脛へと針を刺した。
細い針だし、痛みに強い人なら耐えられるような注射針だけど、プスッと勢い良く刺した。
チクッと小さな痛みが走る筈だけれど、全く反応はなかった。
「ちょっと、抓みますよ?」
「先生。もっと力を入れないと、年寄りは鈍いですよ」
強めに握った右腕。
私はデスクチェアーに座り、コソッ針をゴミ箱へ捨ててカルテに症状を入力して行く。
「失礼します。どんな感じ?」
「……これ何ですけど」
友田君が連れて来たのは鷺沼先生。
兄は処置が終わってるとするなら、研修医2人と診断についての話をしてるかも知れない。
私の肩に手を掛け、カルテを見た鷺沼先生。
「すみません。ちょっと触りますね」
「どうぞどうぞ」
「頭のお写真を撮りましょう!娘さんがせっかく連れて来てくれたんですから、ちゃんと検査しておきましょう」
鷺沼先生が上手くヒムカイさんを納得させ、CT検査へと向かわせた。
「すみません。脳外はほとんど経験がなくて」
「それは俺もだから。けど、年齢的に難しいかも知れないな」
「……えぇ」
きっとヒムカイさんは頭を打ってる。
血腫があったとすれば、手術はしない方が良いだろう。
手足に触れながら、スラックスの上から脛へと針を刺した。
細い針だし、痛みに強い人なら耐えられるような注射針だけど、プスッと勢い良く刺した。
チクッと小さな痛みが走る筈だけれど、全く反応はなかった。
「ちょっと、抓みますよ?」
「先生。もっと力を入れないと、年寄りは鈍いですよ」
強めに握った右腕。
私はデスクチェアーに座り、コソッ針をゴミ箱へ捨ててカルテに症状を入力して行く。
「失礼します。どんな感じ?」
「……これ何ですけど」
友田君が連れて来たのは鷺沼先生。
兄は処置が終わってるとするなら、研修医2人と診断についての話をしてるかも知れない。
私の肩に手を掛け、カルテを見た鷺沼先生。
「すみません。ちょっと触りますね」
「どうぞどうぞ」
「頭のお写真を撮りましょう!娘さんがせっかく連れて来てくれたんですから、ちゃんと検査しておきましょう」
鷺沼先生が上手くヒムカイさんを納得させ、CT検査へと向かわせた。
「すみません。脳外はほとんど経験がなくて」
「それは俺もだから。けど、年齢的に難しいかも知れないな」
「……えぇ」
きっとヒムカイさんは頭を打ってる。
血腫があったとすれば、手術はしない方が良いだろう。