失翼の天使―wing lost the angel―
「患者さんの死に優海先生は関係なかった。だから院長も、お兄さんである長崎先生も受け入れたんだと思う。もちろん俺だってそうだ。大池は大学病院に居ないタイプだろうけど、俺からも言っておくから、ここでまた頑張って欲しい」



「厳しく言っといて下さい」



「わかった。……でも、拗ねるんだろうな;;」



「奥さんにして、お家に括っておいてはどうですか?」



「マジでない。叶わなくても恋させて、俺にも」



「……厭味ですか」



「違う違う!ただ、あいつのせいで女子は寄って来ないし、何というか、彼氏ってもんになってみたい」



「……えっ?今まで彼女なし?えっ、どどっ……!」



「いやいやいや!;;遊んだりはした!って、何を言ってんだ、俺……;;」



「それはそれで……」



「言わせといて、引くなよ!;;」



「ふふっ。先生、年上らしさないですね?」



「調子狂わされるわー;;」



「久しぶりに楽しいです」



「オモチャにするな」



「……っ、すみませーん!」



いつぶりに笑っただろう。

いつぶりに頭を撫でられただろう。

大学病院を辞めて1ヶ月。

その前からだもんな……。



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