失翼の天使―wing lost the angel―
「「「『おはようございます!』」」」
勤務を終えて30分。
観察ベッドスペースが空き、別室にあったエコーや予備、産婦人科外来からも賴真が借りて来てくれて、観察ベッド数と同じ8台が揃った。
1台ずつ電源を入れてると、徐々に集まり始めた大学病院の研修医1年目の子たち。
科のユニフォームを着用し、首からは救命の外部ドクターを証明する証明証が下がってる。
「6・7人のグループになって、それぞれのベッドのところへ行って下さいねー。あ、貴方からはこちらのグループでお願いしまーす!」
アシスタントに任命した仙田さんが上手く動いてくれる中、この日の為に苅谷先生に借りた写真などを2台のホワイトボードに貼って行く。
時間厳守と伝えてあった為、5分前には50人揃った。
本当に見学するつもりか、兄や賴真など救命ドクター5人が見守る中、ホワイトボードの前に立った。
「9時になったので、始めます。本日、苅谷先生に代わりまして、指導をさせて頂きます鷺沼総合病院で救命医で、元ERメンバーの長崎優海です。よろしくお願いします」
「「「『お願いします!』」」」
頭を下げると小さく拍手が起こる。
帰りは数人から起こるか、ないかだ。