失翼の天使―wing lost the angel―
「では次は、腹部や心臓など、アプローチ箇所によって何を評価するか専門外の事もあるだろうけど、復習・学習をして行きます」



「「「『はーい……』」」」



「……良いですか?」



「「「『はい』」」」



「先ずは腹部超音波検査から――…」



今回の面々は、全体的にゆとりの集まりなのだろうか。

早々からこんな風では私の怒りポイントを刺激するだけだ。

堪えながらひたすら話し続け、予定より繰り上げで実施に移る。

グループ毎に交代で患者役をして、各々に思うところにアプローチさせる。

さすがに乳房や経膣、超音波内視鏡は無理だけど。



「吸気・呼気による内臓の動きをこの機会にじっくり見て下さい。圧迫の弱さ、滑ってると上手く見えません。ゼリー不足やマークを見て左右の間違いがないようにして。デプス(深さ)とゲイン(明るさ)を調整してみましょう。後はエコーは空気が苦手なので、息止めや体位変換、アプローチの仕方を変えて上手く操って下さい。横断・縦断、複合・回転と、走査も色々と試して下さい」



各ベッドを回りながら声を掛ける。

聞いてるかはわからないけど、外科や内科、産婦人科で研修中の子は専門外のところでもアプローチの上手さは出る。
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