失翼の天使―wing lost the angel―
残る者は残り、動転してる子たちは帰す。

片付けをしながら残った子の質問に答え、研修時間の1時間半を終える。



「お疲れ様でした。これからまた経験を積めば、エコーへの画像解剖も早くなると思うので、研修頑張って下さい」



「「「『ありがとうございました』」」」



同期の突然の入院に、覇気が失われた姿に喝を飛ばしたい気もするけど、黙って見送り、苅谷先生に報告の電話。

竹内君の指導医への連絡も頼み、救命管轄としながら、外科病棟へと上がった事も伝えた。

指導医や苅谷先生が来た時に、お見舞いしやすいだろうと思って。




『ごめんな、ありがとう』



「いえ。こちらこそ」



電話を切り、大きく溜め息。

先生を謝らせてしまったけど、謝るのはこちらだ。

机に伏せると、廊下からバタバタと激しい足音。



「先生……っ!」



ナースステーションに駆け込んで来たのは、仙田さん。



「どうだった」



「それが……」



「「「『…………?』」」」



兄が訊ねると、表情を歪めた仙田さん。



「……大池さんです……」



「「「『は……?』」」」




…何を言ってるの?

何で彼女がここに居たの?
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