失翼の天使―wing lost the angel―
「長崎医学部長のご令嬢だからって、調子に乗ってんのか!」



「ここは大学病院じゃないのに、そこ関係ないんじゃないですか!?私はただの救命医。他を言えば貴方の弟の彼女です。他に何の肩書きも名分もありません。それなのに威張ってたらただアホでしょうが!」



「あーあ……;;」



「……とんだ女を選んだなあいつも……。だから世知子にすれば良かったんだ……」



「……何て?」



…お兄ちゃん?;;

何でお兄ちゃんが、反応した?;;



「あんな女と俺の妹を比べんなよ!優海の良さわかんねぇなら、そこに口出すなよ!辞めてやっても良いけどっ!?」



「……ごめんなさい。二度と比べません。辞めないで下さい;;」



…弱っ!!

しかも謝った!?;;



「何て?」



「ごめんなさい!辞めないで下さいっ!!」



「経営面で心配されるのは、心臓外科の部長としてだけでなく、今後、院長になる翔真先生としては当然でしょう。いくらでも妹に文句を言って貰っても構わない。ただ、あのクソ女と比べる事だけは許しませんよ。次は本気で辞めますから」



「はい……」



辞められたらそんなに困る人なのか……?

それとも何か弱味を握らせたのか……?
< 173 / 219 >

この作品をシェア

pagetop