失翼の天使―wing lost the angel―
2人だけで進む会話に、入れずに交互に見ながら黙って見守る。



「長崎先生、本当は今すぐにでも辞めたいと思ってないか……?」



「思ってますよ。救命救急オンリーの医院を開業したいですね。医師の派遣も良いですけど、ドクターカーも欲しいですし。派遣だと、白車に乗ったら車どうするか迷うし」



「――入れましょう!導入に向け、先ず委員会に提案しましょう!」



「そこ辞めさせて下さいよ」



「そんな、困る事を!;;優秀な医者を探すの大変だってわかるだろ?;;」



「賴真先生が居ます」



「……フラれたの知ってるくせによく言うな;;」



…“フラれた”……?



「何の話ですか。院長からは“賴真が部長になれる器になるまでは確実に居て”と言われてますが?」



「は?賴真は行く行くは診療所に行くと断って来てるけど?」



「「……へっ?」」



賴真がそんな事を……?



「それ、本当ですか……?」



もしかしたら、私の夢は、賴真と共に叶えられるって事だろうか。



「あぁ。“俺の憧れる医者は祖父さんだ!”って、昔から吠えてる。だから救命でマルチに動けるドクターになろうと働いてる」



…そんなっ……!
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