失翼の天使―wing lost the angel―
12†プロポーズ
「でだな、優海が鷺沼に飛び込んで……」
「――もう、止めぇっ!!」
数日後の夜勤日。
久しぶりに下ネタ好きメンバーが揃い、自らのネタではなく、私と賴真の話を始めた兄。
このまま放置しては話を盛られたり、あらぬ事を言われるかと思い、カットイン。
「さっさと帰りなさいよ、研修医!」
「酷っ!優海先生、可愛い弟みたいな俺になんて事を言うんですか!」
「副島君を弟にしたつもりはない!」
「先生はどちらかと言えば、俺派ですよね」
「友田君、何故それを……;;」
「「「『えっ!!?』」」」
「浮気か優海!!」
「違うし、賴真も帰りなよ!;;」
「帰らない。友田君派って何だ!優海は俺オンリーだろう!?」
「……や、第一印象、友田君だけど;;」
「な、何だと……、」
「悄気過ぎじゃない?;;」
止まらない話。
最近、馴れ馴れしさの増した副島君のせいで、トーク内容は逸れ始めたばかりか、賴真は項垂れてしまった。
さり気なく隣に座る姉にもたれ掛かる賴真を引き戻しながら呆れ、「厄介だね、君の弟……」と松枝君を見ながら告げると、わざとらしいほど顔をプイッと背けて知らん振り。
…誰か助けてよ!;;