失翼の天使―wing lost the angel―
チェーンに下げられたその指輪には、キラキラと輝くダイヤモンドが見える。



「……先、越すなよ」



「「「『シッ――!!』」」」



「すまん……;;」



「……お願いします……」



カウンターチェアーから降り、賴真の手から指輪を受け取る。



「奥さん」



「はぁい……っ;;」



「奥さん」



「……うるせぇな、鷺沼;;」



「真似するなよ、こんな時まで;;」



「「「『おめでとうございまーすっ!!』」」」



指輪がおさまる手を包まれ、額の重なる至近距離で“奥さん”と言われ、何だかくすぐったい。

拍手に包まれる中、兄が鬱陶しそうに賴真の背中を何度も叩く。



「叩き過ぎでしょ!」



「うぜぇ……!俺の優海だっただろ!」



「俺の優海、ですから!」



「ご愁傷様、優太」



「……はぁっ……」



「御臨終です」



「彼氏を殺してんじゃねぇよ、アホ;;」



「ゆう君には、私が居るからね?」



「うん。……あ゛!;;」



「「「『――…っ!?;;』」」」



…甘えん坊……?;;

誰、この人!;;

私のお兄ちゃんの顔した別人??;;



「……嵌めて?;;」



「お、おぉ!;;」



見なかった事にしよう。

…そうしよう!;;
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