失翼の天使―wing lost the angel―
男性に怪我はなさそう。

しかし車に近付くと、シートがフラットにされた後部座席に座ってたであろう小学校低学年の男の子が、バックドアに激突したのか、頭から出血した状態で俯せに倒れて居た。



「――赤タグは?」



「この子からお願いします」



「わかった!」



宮本先生が来て、少年を任せる。

私は残りのトリアージを行い、優先順位を決めて2台目の運転手を診る事に。



「診ますよー」



先程より呼吸の荒くなってる。



「出せますか?」



「応援を呼びます!」



ハサミでTシャツを切り、エコーで痛がってた胸元から確認。

赤くなってるし、心臓にダメージを負ってるかも知れない。

車へ片足をかけて乗り込み、車内灯を点ける。



「……せん、せ……」



「どうしました?」



「……彼女、に……、」



「大丈夫ですか?しっかりして!」



「先生、出せます!」



「――仙田さんお願いっ!!」



救急隊員が数人を連れ、担架を手に戻って来た。

仙田さんを叫び、こちらへと呼びながら、担架へと運転手を移す。

立駐を降り、歩道で下ろして処置へと入る。

ライン確保し、挿管。

見物人も多く、ブルーシートで囲んで貰ってから開胸。
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