失翼の天使―wing lost the angel―
「サテンスキー」



「はい」



「このまま閉じるので、この人は鷺沼にお願いします。連絡頼める?」



「わかりました!友田君に付き添いを頼みま……」



「仙田さん?」



「倒れた!!」



「お願いしますっ!!」



先に立ち上がった仙田さん。

彼女は本当に周りが良く見えてる。

仙田さんの視線の先では、宮本先生が処置中の少年の父親が車の横で倒れて居た。

救急隊員に任せ、私は男性の元へと走る。




「お父さん、大丈夫ですか??」



「……すみません……。ちょっと……目眩がして……」



「大丈夫ですよ。ちょっと下でゆっくりして息子さんを待ちましょう。難しいかも知れませんが、リラックスして待ってて下さい」



「はい……」



「過呼吸が出てる。どこかに座らせて、深呼吸させて。落ち着かずチアノーゼが出たら、救護所のドクターに診せて下さい」



「わかりました」



「先生、お願いします!!」



「はい!」



バタバタと立駐の坂を上り下りし、負傷者を運び終えたのは2時間後。

その後は救護所に行き、軽傷者の処置。 

私たちが病院を戻れたのは3時間半も経った頃だった。
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