失翼の天使―wing lost the angel―
それでも助かったのは、何よりもサイトウさんの気力がここまで持ったからだろう。
力を振り絞れば、彼女の後に続けようとした言葉を言えたかも知れない。
でもそれが、別れの言葉だったとしら……サイトウさんはわざと口を閉じたのだろう。
「優海」
「ん……?」
「良いドクターだな。良い女でもあるけど」
「私は何も。あの2人の愛の強さだよ」
彼女さんを落ち着かせ、ICUまで見送ると、私服に着替えた賴真がやって来た。
いつ誰が通るかわからない廊下で後ろから抱き締められながら、ガラス越しにサイトウさんカップルを見つめる。
「俺たちはもっと良いカップル、夫婦になれるんだろうな」
「そうなの?」
「何かあったら、お互いに助けられる医術を持ってるからな」
…そういう、良いね;;
「健康で居よう?;;」
「そうだなー。でも、産婦人科医が男だったら俺が子供を取り上げるから」
「…………。はっ?;;」
…何を言っちゃってるの;;
「優海に男が触れるなんて許さねぇ!」
「ダメだ、この人……;;」
妄想で勝手に怒る賴真を見上げ、呆れながらも口元が緩んで行く。
甘いのかな。
でも、どんな感情も表に出せるって幸せなんだろう。
きっとサイトウさんたちも、そうなのかも知れないね。
力を振り絞れば、彼女の後に続けようとした言葉を言えたかも知れない。
でもそれが、別れの言葉だったとしら……サイトウさんはわざと口を閉じたのだろう。
「優海」
「ん……?」
「良いドクターだな。良い女でもあるけど」
「私は何も。あの2人の愛の強さだよ」
彼女さんを落ち着かせ、ICUまで見送ると、私服に着替えた賴真がやって来た。
いつ誰が通るかわからない廊下で後ろから抱き締められながら、ガラス越しにサイトウさんカップルを見つめる。
「俺たちはもっと良いカップル、夫婦になれるんだろうな」
「そうなの?」
「何かあったら、お互いに助けられる医術を持ってるからな」
…そういう、良いね;;
「健康で居よう?;;」
「そうだなー。でも、産婦人科医が男だったら俺が子供を取り上げるから」
「…………。はっ?;;」
…何を言っちゃってるの;;
「優海に男が触れるなんて許さねぇ!」
「ダメだ、この人……;;」
妄想で勝手に怒る賴真を見上げ、呆れながらも口元が緩んで行く。
甘いのかな。
でも、どんな感情も表に出せるって幸せなんだろう。
きっとサイトウさんたちも、そうなのかも知れないね。