失翼の天使―wing lost the angel―
13†狂った男の結末
「良かったな、優海ちゃん」
「あぁ、天真先生。何が良かったんですか?」
「夜勤オンリーになったし、ドクターカー導入」
「ドクターカーは兄の案で、私はどっちでも良かったですよ」
9月1日、今日から救命救急センターにドクターカーが導入される。
それに伴い、救命は大きく体制を変わる。
救命救急センターに所属する医師と看護師は17時から8時までの勤務と夜勤だけとなり、昼間は総合診療科のスタッフで回される。
そして、救命のHCUとICUは外科管轄となり、私たちには担当患者が居なくなる。
夜間中の緊急対応は行うけど。
勤務開始前にコーヒーを買ってると、賴真の弟である天真さんから声を掛けられた。
鷺沼家で対面済みの為、知らない仲ではなく、新体制について話ながらナースステーションへと行く。
慣れた顔触れが一堂に会するなるて今まではなかった為かちょっと不思議な感覚だけど、交代で休みもあるし、そのうち慣れるだろう。
「凄いですよね、次期院長」
「まだ決まってねぇけどな」
武藤君と話してる賴真の隣へと座り、もうカルテを開く事はない為、私はボーッと時間を過ごす。
「さっき翔兄とさぁ――…」
天真さんは何しに来たかと思えば、賴真に兄弟喧嘩の報告に来たようだ。