失翼の天使―wing lost the angel―
目を見開き、固まる私。

賴真は乾いた声で、“は……?”とだけ反応。



「まだ処置中らしく、嫁さんに行かせてる。先ず優海ちゃんに謝りたくて」



「謝って済む問題じゃねぇだろ……っ!!」



「賴真、止めろ!!;;」



「賴真……っ!!」



脚を踏み出した賴真を遥真さんと止め、壁に押し付ける。

それでも怒り、叫く賴真。



「だったらお前が継げーっ!!」



「「「『…………?』」」」



挑発させたくはなかった私たちは、賴真を落ち着かせようとだけしか考えて居なかった。

すると、立ち上がった翔真先生は動機理由なのか、待合奥の廊下にまで響いてそうな声で叫んだ。

狂気な目が賴真を捉えてる。



「あ?」



「何が次期院長だ……。誰も俺に従わなかったじゃねぇかーっ!!どいつもこいつも遥真に継がせたがっただろーっ!!」



「俺も遥兄も何も言ってねぇだろーが!勝手に嫉んで衣舞ちゃんと優海を傷付けてふざけた態度取ってんじゃねぇよっ!!」



「貴様……っ!!」



「衣舞が死んだら、俺が海月-ミツキ-さんを同じ目に遭わす……。兄貴にはキレて当然だ……。てめぇは反省すべきとこだろーがっ!!」



それでも挑発を止めない賴真に、掴み掛かろうとしてる翔真先生。
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