失翼の天使―wing lost the angel―
「賴真……」



「ん……?」



「ううん。呼んだだけ」



朝のニュース番組からワイドショーに変わる頃、片付けも済んでベッドへと入った。

2人では若干狭いけど、混ざり合う熱は心地良い。

抱き締められながら名前を呼べば返事が返って来る。

それはどんなに幸せな事だろう。

この時間も大切にしないといけないんだよね。

いつ、離れてしまうかわからないんだもん……。



「私も支えるよ……」



「ん?」



「賴真と一緒に、天真さんも院長にお母さんもみんな」



「あぁ」



「もちろん、賴真もね」



「ありがとな……っ」



身体に回る腕の力が強まり、苦しいけれど賴真の鼻声に抗う事は出来ない。



「交代」



力が緩んだところで腕枕を交代し、賴真を胸へと引き寄せた。

声を押し殺して泣く賴真の背を擦り、そして頭を撫で続けた。

--~♪~♪

賴真がそのまま眠りに就いた頃、頭元に置いてるスマホが着信を告げた。

そっと起こさぬようにベッドから抜け出し、少し離れて電話に出た。



『賴真どうしてるか気になって』



「泣いてました……。今、寝たんですけど……」



麻子さんからの着信かと思えば遥真さん。

声に疲れを感じる。
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