失翼の天使―wing lost the angel―
14†家族



「赤嶺クリニック、夜間救急」



『30代と見られる男性が、〇〇駅ホームで倒れました。アルコール中毒かと思われます』



「受け入れます。搬送して下さい」



あれから気付けば半年あまりが過ぎた。

鷺沼総合病院は今もあるものの、名前は新院長の名前に変わり、救命救急センターは実質閉鎖した。

松田先生が名誉挽回に頑張ってくれたのに、信用はなかなか戻らずで、鷺沼家は病院から完全に手を引く事になった。

賴真たちが辞めるならと、救命救急センターのスタッフはほとんどが退職。

そして、気に病む賴真たちを見て、姉夫婦は一念発起。

両親や私たちにまでも出資させたけれど、敷地が150坪もあった祖父の家を壊し、隣の空き地を買い取って、計230坪もある赤嶺クリニックを建てた。

敷地いっぱいの面積を使い、1階に夜間救急。

2階に15床、完全個室の入院施設。

3階に義兄の歯科で、4・5階は祖父母・両親・姉夫婦の住居となった。

父親も義兄もマスオさん状態で心配だったけど、上手く行ってるようだ。

クリニックも歯科の機材は持って来たし、救急の方も父親や、父方の祖父の名を借りて安くして貰ったとかで、全てが上手く回り始めたような気がする。



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