失翼の天使―wing lost the angel―
これ見よがしに賴真の腕に絡み付き、キッと周りを睨み付けると、遥真さんが兄の腕に同じように絡み付いた。



「賴真は私だけで良いのっ!私だけの旦那なのっ!」



「俺もお前だけで良いよ」



「もっ……!そんな事を言っても何もあげないからねっ!」



「良いよ?優海が居れば」



「「…………;;」」



兄と遥真さんにより繰り広げられる物真似に、何事かと姉や仙田さん……紅葉ちゃんまでもが注目するも、私たちの物真似だとすぐに気付き、“似てるわ”って反応を見せた。

…私たちはこんな風に見えてると?;;



「賴真ぁ……お腹空いた……」



「ん?何か食べるか?食べような?」



「もう止めてやれ;;」



悔しくも、ちょっと似てる気がする。

遥真さんを通して自分を見てるようで恥ずかしく、手で顔を隠した。



「優海ちゃん。やったらやり返されるんだよ」



「うるせぇな、天真……」



「それ!それだって!俺もやるよ?」



「何をですか;;」



「賴真は今日、何食べたい?そうだなー。優海って答えあんの?ない!ないよ、ないっ!ハンバーグにする?んー?やっぱ優海にする」



--ゴン…ッ

…どこでいつ盗み見たのか、ある日しの私たちの会話を。
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