失翼の天使―wing lost the angel―
翔真さんの涙を思い出し、私はテレビを消して横になった。

私は被害者であり、加害者家族。

天真さんも同じ気持ちだろう。

衣舞さんを思えば、このまま……とも思うけれど、家族としては、海月さんや子供の元へ1日だけでも戻れたらとも思う。

--プルルル…ッ



「赤嶺クリニック、夜間救急」



『繁華街のクラブで乱闘発生。負傷者多数です。現場にて処置をお願いします』



「わかりました、出動します。……優海と……」



「何で私は決定してるの;;」



起き上がり、ナースステーションに戻ると、何故か危険である筈の場所への出動が決まってる私。



「優海……友田、天……違うな」



「俺の何が?;;」



「お前と副島は短気で患者と喧嘩しかねない。黙らせる優海と……」



「「「『自分でしょ??』」」」



「優海・遥真・友田・姉貴で良いな。行け!」




「賴真は天真よりは大丈夫だろ?2人じゃキツいかも知れないよ?」



「優海が絡まれたりしたら?」



「「「『……?ダメだ;;』」」」



兄の人選に間違いはない。

賴真自身も自覚ありだし。



「行ってきまーす」



白衣から“AKAMINE CLINIC Dr.”と背に入ったアウターに着替え、裏口から出た。
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