失翼の天使―wing lost the angel―
「そうですよね。優海先生は大学病院の先生方や男性職員に美人で優しいと人気だったんですよね?でも、外科のエースでイケメン。院内1モテた方とお付き合いして、誰も手出しは出来ない位ラブラブだったとか」



「お前、何を言ってる」



「……何で、その話……」



「けど、結婚の日取りまで決めてたのに、院長の娘さんで、同期の方に略奪されたとか。ご同情申し上げます」



「…………」



「大池、いい加減にしろ!」



「そうよ!優海は婚約もしてないわ!」



「じゃあ、本人たちの口約束ですかね?でも落ち込んで、患者さんを助けられなかっ――…」



--パシン…ッ



「「「『――…っ!?』」」」



「……何、するのよっ……」



「お前には関係ねぇだろーがっ!第一な、優海先生は必死に延命治療を続けたけど、家族の意向で諦めざる負えなかっただけだ!何も知らないお前が、しかも今になって口出す事ねぇ!」



どこで聞いたのか、私の大学病院での最後の出来事。

何も返せず居て、姉も止めようとしてくれた中、鷺沼先生が激怒し、大池主任の頬を思い切り引っぱたいた。

事実を知る鷺沼先生。

でも、大池主任の言った事もあながち間違いではない。
< 23 / 219 >

この作品をシェア

pagetop