失翼の天使―wing lost the angel―
「何で……?何で賴真がこの人を庇うのよ……っ!何も反論しないって、事実じゃないっ!私は優海先生に気を許してる貴方が心配だったの……。だから、大学病院に務める後輩に……っ……」



「頼んでない」



「え……?」



「誰が頼んだ、そんな事!何でお前は人の気持ちを考えないんだよ!」



「私は、ただ、賴真の仕事が円滑に進むように……」



「お前が進ませねぇんだろ?昔の好で院長も俺も黙ってるだけで、誰もお前がここを円滑に回せてるって思ってねぇよ」



「……っ……、」



ついにハッキリ言ってしまった鷺沼先生に、私たちは唖然とし、大池主任は顔を覆ってしゃがみ込んでしまった。



「泣くなら他に行け。仕事の邪魔だ」



「賴真の馬鹿っ……」



そう言われて職場を逃げ出すなんて、普通ならあり得ない。

「お手洗い行って来ます」と姉に報告して出て行っただけ、ましなのか。



「先生、優海を庇ってくれてありがとう。でも、良かったの?貴方たち、付き合ってるのよね?」



「「……えっ?」」



「違うの?」



…鷺沼先生と、大池主任が……?

幼馴染みなだけじゃないの?

彼女、居た事ないんじゃ……?
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