失翼の天使―wing lost the angel―
3†初デート



「おはようございまーす……」



1日休みで、日勤の今日。

体内時計を戻すのに失敗した私は、寝ぼけ眼のままカンファレンスルームへと入った。

夜勤だった兄と宮本先生と武藤君。

共に日勤の鷺沼先生と副島君の6人でミーティング。

初日と違い、睡魔を抑える事に必死で参加せずに、コーヒーで何とか目を覚まそうと必死。

途中、ブラックガムを二粒も噛んで、少し起きた位だ。

ナースステーションへと行き、日勤ナースの顔を確認。

ここのナースは日勤と夜勤が選べたり、羨ましい。

大学病院時代は夜勤だけだったし、体内時計を戻すも何も、数年ぶりにお昼間に起きてるんだけど。

やはりあの兄は、私の“夜勤だけが良いなぁ”って発言は無視するよね。

わかってたし、大丈夫だと思ったのに眠い。



「HCU行って来まーす……」



ナースステーションを出て、先日ダメージコントロールをし、オペを伸ばした患者さんを見に行く事に。

無事に成功し、目を覚ますのを待つだけだけど、彼女が生きたいと思った事に違いはない筈だ。

点滴の管に呑まれた腕。

手を握れば温かい。



「頑張りましたね」



まだどうして死を考えたのかはわからないけど、また生きる楽しみを感じて欲しい。

私も、辛かったけど生きてるし。
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