失翼の天使―wing lost the angel―
「何かあった?顔、怖いけど;;」



「……制裁、ですかね」



「えっ?優海先生、“制裁”とか言えちゃうような、力のある人なんですか!?」



「知らない方が、身の為じゃない?」



「聞くなよ、副島」



「逆に気になる;;」



電話を終えた私は、ナースステーションに戻った。

自覚はなかったけど、怒りが顔に出てたらしく声を掛けられてしまった。

私自身に力はなくとも、制裁と言う私の言葉のチョイスに反応を示した副島君。

言わないだけで、隠してはない。



「大したことない。父親はA大学病院の医学部長」



「な、何ですとっ!?;;」



「……言っちゃった;;」



「母親は今はただの人。親が医学会会長だったってだけだね」



「ちょちょちょちょー!;;」



「大丈夫か、副島!;;」



「赤嶺師長のご主人も凄い人じゃなかったですか?;;」



「お義兄さんはただ歯科医院を開業しながら家事も熟してるってだけ。でも、去年から医学会の歯科代表だったかなー」



「さーいーきょー!;;」



「生きてるか?副島!!;;」



白目を向いて叫ぶ副島君。

言ったらこうなるから言わなかった。
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