失翼の天使―wing lost the angel―
ナースステーションに戻れば、姉が主要メンバーのナースの紹介を受け、私は同い年だという仙田紅葉-センダモミジ-に細かな事を教えて貰う事に。



「で、この開き戸の中に出動用の防水アウタージャケットと、レッグポーチがあるので、覚えといて下さい」



ドクターカーも備え、現場でも処置が出来る機能が整えられてるこの救命救急センター。

ナースステーション内を見終え、最後に案内された搬入口の一角に磨りガラスの戸があると思えば、医師たちの出動ウェアーがあった。

もちろんそこには私の分もあった。

ユニフォームの申請の時に、太股のサイズも書く欄があったと思えば、この為か。



「後は大丈夫ですか?」



「うん、ありがとう。迷ったらその都度、訊かせて貰うと思う」



「いつでも!私はここの事なら何でもわかるので!」



「長いんだ?」



「はい!救命の看護師に憧れて、ナースになったので。8年間、ずっとここ。師長の次に長いんです!出動にもついて行きたくて、救命の認定看護師の資格も取ったんですよ?3年前に大池主任が来てから、行けてないですけど……」



「…………?」



看護師の仕事を愛してるかのような仙田さんの話に耳を傾けてると、急に声が沈んだ。

仙田さんのユニフォームの袖部分には、確かに認定ナースの証であるボタンが留められてる。
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